
キモノにプラスして着物を楽しむキモノプラス連載企画
『キモノ+小説』の最終回です!
着物や帯が、物語の中に登場するのってワクワクしますよね!
着るのとは一味違うキモノの楽しみ方ができます!
第4回の作品は時代小説作家の中島要さん作の「着物始末暦シリーズ」(全10巻)(ハルキ文庫)です。
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=4363
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内容・あらすじ
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着物の染み抜き、洗いや染めとなんでもこなす着物の始末屋・余一は、職人としての腕もよく、若くて男前なのだが、人と深く関わろうとしない。一方、余一の古馴染みで、柳原土手の古着屋・六助は、難ありの客ばかりを連れてくる。余一の腕を認めながら、敵対心を燃やす呉服太物問屋の若旦那・陵太郎。朴念仁の余一に片思いをしている一膳飯屋の看板娘・お糸など……。市井の人々が抱える悩みを着物にまつわる思いと共に、余一が綺麗に始末する!! 人情味溢れる筆致で描く、連作短篇時代小説。
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作品の魅力
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年代問わず、着物に少しでも興味のある人に必ずオススメしたいシリーズです!!
無理やり一言で表すならば、「No.1着物エンタメ時代小説」と言っても過言ではないかもしれません・・・!
シリーズは全10巻ですが、日本橋や吉原といった江戸の町で繰り広げられる、登場人物たちそれぞれの人間ドラマが面白く、読み心地の良いストーリー展開でスルスルとあっという間に読み終えてしまう作品です!
作品に登場する着物の始末屋「余一」。
どんなにお金を積まれても意に沿わないことはやらない、武骨で頑固で不器用な江戸の職人でありながら義理と人情には厚く、「弱きを助け、強きをくじく」精神の持ち主。
困っている人の着物の始末に関しては、ただ着物を直すことを超えた「これこそ江戸の粋」というほどの驚くような才を発揮します。これが本当に痛快で、どんどんと読み進めてしまうこと間違いなしです!
着物の始末屋とは古くなったり汚れたりしてしまった着物の汚れを落としたり、染め替えや仕立て直しをすることで蘇らせることを生業にしている職です。
捨てるのではなく、蘇らせることで新しい価値を生み出す、まさに今話題になっているSDGSの考え方ですね!
作中には着物の古着屋の店主や呉服店の若旦那なども登場し、江戸時代の製品サイクルもわかりやすく描かれています。
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始末屋の仕事
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少し作品とは話がそれますが、着物の始末屋って今の世の中にもいるのでしょうか?
余一のように染め替えや仕立ても出来るという職人さんはほとんど存在しないと言っていいかもしれませんが、今でも「悉皆屋(しっかいや)」という職業があり今でも着物を蘇らせるお仕事をしています。
「悉皆」という言葉があらわしているように、着物に関することを「ことごとくみな(悉く皆)」承りますよ、と言う意味で、着物の手入れやクリーニング、染め替えや仕立て直しをしています。
また、悉皆屋は着物を蘇らせるだけでなく、染めや仕立てに関わる職人さんを束ねる着物総合プロデューサーとして新しい着物をつくる人たちのことも指します。
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まとめ
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「きものが語る、秘められた人の思い」
着物=蘇らせることの出来る衣服だからこそ、連綿と続く人々の思いが詰まったものになり、その思いが、「着物」を通して伝えられていく。
これが着物の本来の価値なのかもしれない、、、そんな気持ちにさせてくれる「着物始末暦シリーズ」。是非読んでみてください!!
■「着物始末暦シリーズ」(全10巻)(ハルキ文庫)
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=4363
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