PAGE
TOP

和裁士 平山留美さんに学ぶ。お誂えの醍醐味! 其の4 〜柄合わせの魅力〜

和裁士 平山留美さんに学ぶ「お誂えシリーズ」。
最後となる今回は「柄合わせ」の魅力についてご紹介いたします。
これからお仕立てを考えている方、また仕立て直しを考えている方はこのコラムを参考にしてみてください。さらにお気に入りの一着になるかもしれませんよ!

今回は全く同じ柄の浴衣を用意し、「柄合わせ」をした方と、していない方で比較していきます。
見た目にはどのような違いがあるのでしょうか?
早速、見比べてみましょう!

着物は究極のサスティナブル衣服!
〜和裁士 平山留美さんに学ぶ。着物お仕立てのイロハ 其の1〜 はこちら⇩
URL:https://www.kimonoplus.com/columns/1057/lang/ja-JP/20

和裁士 平山留美さんに学ぶ。着物お仕立てのイロハ 其の2
〜寸法・仕立て を学ぼう〜 はこちら⇩
URL:https://www.kimonoplus.com/columns/1070/lang/ja-JP/20

和裁士 平山留美さんに学ぶ。お誂えの醍醐味! 其の3
〜Before・Afterを見比べてみよう〜 はこちら⇩
URL:https://www.kimonoplus.com/columns/1083/lang/ja-JP/20

【目次】
1.「柄合わせ」って何?
2.実際に見比べてみよう!
---------------------------------------------------
1.「柄合わせ」って何?

柄合わせとは、着尺地を仕立てる時に継ぎ目部分の模様を一致させることを言います。

柄と柄を合わせて1つに見えるように、合い口(あいくち)をとことん探して合わせていきます。
限られた長さの中で、その方の寸法に合わせて仕立てる。
尚且つ、柄が合うように仕立てるにはかなりの技術が必要です。

「柄合わせがされている着物と、されていない着物を見比べると一目瞭然ですね」と平山さん。
デザインとしての美しさをより強調するためには、やはり柄合わせをしている方がその着物の良さが引き立ちます。

---------------------------------------------------
2.実際に見比べてみよう!

今回は雪花絞りで染めた、全く同じ柄の反物を2反用意しました。

こちら1反は柄合わせを、もう1反は柄合わせをせずに仕立てていただきました。
まずは、完成した「柄合わせした浴衣」を着てみました。

いかがでしょうか?
前身頃や衿元など見ると、ピッタリと柄が合っていて とても綺麗です。

そして肩から袖にかけて見ても、ズレているところがありません。

見事なお仕立てですね。
これだけ完璧に柄が合わされていると、元々柄が持っている良さや魅力が最大限、引き出されているのを感じます。

それでは実際の見た目にはどれだけ違って見えるのか、比べてみたいと思います。
まずは衿元を見てみましょう。

こうして並べて見てみると、柄合わせしていない浴衣は若干の違和感があります。

次は、違いが分かりやすかった後ろ姿です。
柄合わせをしていない方は、明らかに柄がズレています。
それに比べて、柄合わせをした方はピッタリと柄が合っていてとても綺麗です。
モデルさんに合わせた寸法で仕立ててあるので、おはしょりの部分までピッタリと合っています。

あまり柄合わせをしている着物と、していない着物を同時に見比べることはないと思いますが、こうして見ると雪花絞りの魅力が出ていて「柄合わせ」の素晴らしさを感じますね!

今回は浴衣で比較しましたが、着物で柄合わせ仕立てをすると迫力が出ておすすめです。

平山さんは、〈平山留美のきものサロン〉を始め『あなたのための一枚を』というコンセプトのもと、お仕立てをされてきました。
柄合わせを始めたきっかけは、『少しでも喜んでいただきたい』という想いからだったそうです。

そのきっかけは今回の撮影でも使用した「雪花絞り」だったそうで、柄合わせをした浴衣を見た方達からの反響は大きかったそうです。
「柄合わせで仕立ててほしい」という依頼も増え、平山さんは「柄合わせ」の素晴らしさと需要を感じたそうです。

全てを完璧に合わせることは難しいですが、出来る限り合うよう試行錯誤し仕立て上げるそうです。
ここまで柄を合わせることは簡単ではなく、平山さんの技術の高さを拝見しました!
---------------------------------------------------
「お仕立てのイロハ」と「お誂えの醍醐味」を全4回に渡り、お届けいたしましたがいかがでしたか?
昔は着物が普段着であり、常に着用するものでした。
寸法をきっちりと測り、仕立てていた人はあまりいなかったように思います。
しかし多くの現代人たちが着物を着用する機会は、冠婚葬祭や華やかなシーンが多く、着用機会は限られています。
せっかく着物を着るのであれば、自分の寸法で仕立てたものを着用し、綺麗に着こなしたいですよね!
まずは一歩。
「マイサイズ」の着物を仕立ててみるのはいかがでしょうか?

「お誂えコラム」一覧はこちらから⇩
https://www.kimonoplus.com/hashtag/658/ja-JP/2
-----------------------------------
▼プロフィール

平山留美のきものサロン代表
ーーーーーー
平山 留美さん
ーーーーーー

針を持って38年。
仕立てた着物は5000枚以上。

「お客様から顔が見える仕立て屋」をモットーに、縫って・着て・しゃべれる和裁士として活躍中。
神奈川県元住吉にて、「着物の全てを相談できる場所」を目指した「平山留美のきものサロン」を主宰し、浴衣講座や着付け教室・体験イベント・セレクトショップと熟練の和裁技術を軸に、和裁士の枠を超えた活動をされています。

〜認定資格〜
国家検定1級技能和裁士
東京技能士会理事
東京マイスター
ものづくりマイスター

▼監修
着物仕立 ひらやま
●住所:神奈川県川崎市中原区木月1丁目32号3
●電話:044-752-1629
●HP:https://www.hirayama-sitateya.com/index.html
---------------------------------------------------
▼STAFF
撮影:野中 真希
取材・文:キモノプラス編集部