キモノ工芸辞典<か>
<加賀友禅>
石川県金沢市を中心に作られている加賀友禅。
加賀五彩と言われる「臙脂・藍・黄土・草・古代紫」の色を基調とし、写実的な柄が多く、草花模様を中心とした絵画調の柄が特徴です。外を濃く中心を淡く染める「外ぼかし」や、わくらば(病葉)などを表現した「虫喰い」の技法も使われます。
京友禅とは違い、金箔や絞り、刺繍などの技法をほとんど使用せず、描かれる対象のありのままの姿を友禅染めだけで表現しています。繊細な日本の感性が映し出された着物です。
<加賀縫>
加賀繍(かがぬい)は、石川県金沢市で作られている刺繍です。
室町時代初期、京都から、仏教の布教とともに仏の荘厳(しょうごん)飾りとして伝えられました。
加賀繍は、糸を何重にも重ねて立体的にする「肉入れ繍」など、職人の繊細な技法で縫い上げた立体的な図柄が特徴で、主な技法には「くさりぬい」「まつりぬい」「すがぬい」や、グラデーションをつける「ぼかし繍」などが用いられます。
<鹿子絞り>
絞り染めの一種で、小さな、白い輪の文様が、鹿の背のまだら模様のように表されたもの。輪の形に染め抜く部分の中央を、指先または鉤針(かぎばり)を用いてつまみ、その部分を7〜8回糸でくくり、防染して染めるので、糸が巻いてある部分が白い輪になって残ります。この作業を繰り返して染められた絞り染が鹿子絞りです。絞り染めのなかでも素朴な技法で、古くから行われたもので、日本の各地にこの種の絞り染めがあります。
<絣>
絣(かすり)とは、先に表現する文様を想定して糸に部分的に防染処理を施した「絣糸」を用いて文様を表す織物技法。
絣柄としては、蚊絣、十字絣、亀甲絣、井桁絣、絵絣などがあり、糸でくくって染めた経糸、緯糸が織られて交わることにより、独特の柄を白く織り出します。
日本だけでなく、東南アジアや世界各国で織られており、発祥はインドネシアで織られているイカットと呼ばれる織と言われています。
<唐織>
結婚式の打ち掛けにみられるような、柄が浮き上がっているように見える立体的な織や、色糸に金銀を交えて絵文様を織り出した豪華さが特徴で、色糸を浮かして織るので刺繍のように見えます。元々は中国からの輸入品でしたが、室町時代末期頃から堺や西陣でも織られるようになりました。また、能装束で唐織と呼ぶ場合は、女役や若い公達 (きんだち) の着る表衣をさします。