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キモノ工芸辞典<え>

<江戸小紋>
江戸小紋は江戸時代に大名が着用した裃(かみしも)の模様が発祥で、「伊勢形紙」など、型紙を使って染めた型染めの着物です。

当時、大名家の間では裃の模様の豪華さを競い合い、自分達の権威を示していました。
段々と豪華になっていく模様を江戸幕府は贅沢とみなし、度々規制をかけていきました。そこで考えられたのが、遠くから見た場合は無地に見えるように模様を細かくすることでした。その結果、高度な染色技術が発達し、より繊細で精密なデザインの江戸小紋が生み出されることになりました。

<江戸更紗>
3000年以上前にインドで生まれ、室町・桃山時代に日本に伝わったとされる「更紗(さらさ)」。
「江戸更紗」は日本の型染めの技法が使われ、シンプルな柄でも型紙を20〜30枚ほど使って染められ、複雑な柄だと100枚ほどの型紙で染められる。
原色を重ねていく海外の更紗とは違い、江戸更紗は異国的でありながら、落ち着いた、渋みのある深い色の味わいが特徴的です。

<遠州木綿>
遠州木綿は日本三大綿織物産地の一つとして知られている静岡県西部遠州地方で生産される伝統生地です。江戸時代に、綿花を栽培する農家が自給自足で始めた手機による綿織物が市場に出回るようになり、これが「遠州木綿」として高い評価を得ていきます。
そして、明治になり豊田佐吉(トヨタグループ創業者)による自動力織機の発明により生産量が上り、全国へ届けられるようになりました。
温暖な気候の遠州地方の環境で作られた遠州木綿は昔ながらの織機と職人の熟練の手によって、優しい質感と使えば使うほど体に馴染んでいく独特の風合いがあります。

<越後上布>
奈良東大寺正倉院に「宝物」として今も保存されている「越後上布」。
現在では新潟県南魚沼市、小千谷市を中心に生産される、平織の麻の織物です。
大麻ではなく苧麻(ちょま)を用いており、天然繊維の中でも最も涼しい素材といわれ、通気性、吸放湿性、耐久性、通気性、保温性に優れています。
国の重要無形文化財とユネスコの無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に登録されており、「蝉の羽」といわれるほど薄く、繊細な地風を持つ最高峰の麻織物です。

<藍型(えーがた)>
沖縄の染め「紅型染め」の技法で、藍一色で染められたものが藍型(えーがた)です。
赤や黄など、中国文化が反映された華やかな紅型が王族のものであったのに対し、藍型は主に庶民のきものでした。沖縄に自生する琉球藍から抽出した染料で紅型染めの技法で染められます。紅型独特の柄を藍の濃淡と墨の隈取りで表現された模様が特徴的です。