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【埼玉県・川越市】着物初心者さんにおすすめ!川越唐桟の魅力とは?

みなさんは「川越唐桟(かわごえとうざん)」をご存知ですか?
現在は埼玉県川越市にある2軒の呉服店でしか販売されていませんが、肌触りの良さとお手軽な価格ということもあり、初めての「自分着物」をお仕立てするのにとてもおすすめなんです!
そのうちの1軒<呉服 かんだ>にお邪魔し、唐桟の魅力を三代目店主である神田善正さんに伺いました!

【目次】
1.<呉服 かんだ>で「唐桟(とうざん)」を学ぶ。
2.「川越唐桟(かわごえとうざん)」の誕生と衰退。
3.西村氏による「唐桟(とうざん)」の復活。

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1.<呉服 かんだ>で「唐桟(とうざん)」を学ぶ。

観光地としてとても人気な「小江戸」。
蔵造りの街並みを目当てにたくさんの観光客が訪れます。
今回お邪魔した<呉服 かんだ>は「小江戸 川越 一番街商店街」に店舗を構える、昭和25年創業の着物販売店です。

この辺りは今でもたくさんのお店が並んでいますが、もともと城下町として栄えていたため、絹や木綿・またその他の様々な物が集まり販売されていたそうです。

「唐桟(とうざん)」とは、江戸時代に東南アジアからもたらされた縞木綿のことです。
平織で極めて細い双糸を使うことで、木綿でありながら絹そっくりの風合いを持つ織物です。

当時、遠い南の国からもたらされたエキゾチックな縦縞の「唐桟」は粋で人気を博したそうです。
しかし値段がとても高く、庶民が着用できるものではなかったそうです。

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2.「川越唐桟(かわごえとうざん)」の誕生と衰退。

安政の開国以後、日本では紡げなかった極めて細い木綿糸が、産業革命以後の欧米諸国から安く輸入できるようになります。

この点に川越商人はいち早く着目し、当時絹織物の産地として栄えていた川越周辺の機屋(はたや)に「唐桟」を織らせました。
出来上がった「唐桟」は良質で安価だったため爆発的に売れ、「川越唐桟」、「川唐(かわとう)」と愛称まで生まれたそうです。

川越でも販売されていましたが、江戸の方が高く売れるという理由から水運を利用し販売されていきました。
『流通がスムーズだったことが流行った理由として挙げられるでしょう』と神田さん。

江戸時代の前期・中期・後期、それぞれ江戸好みの柄が違ったそうですが、歌舞伎役者の「市川団十郎」が川越唐桟を着用し舞台に立ったことで、人気に拍車をかけることとなりました。

人々の暮らしに浸透していった川越唐桟ですが、明治26年の川越大火がきっかけで急速に衰退していくこととなるのです。

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3.西村氏による「唐桟(とうざん)」の復活。

一度は衰退し作られることのなくなった川越唐桟ですが、
昭和に入り地元の有志たちが蔵の中で唐桟の縞見本帖や江戸との商取引の記録資料を見つけたことがきっかけとなり、唐桟を復活させるための活動を始めることとなりました。
そして、唐桟を復活させることができる機屋を探し求めた結果、入間にあった西村織物工場の「西村芳明」氏に白羽の矢が立ったのです。

西村氏が復刻させた「唐桟」はパリッとしていますが柔らかく、それでいてハリのある触り心地。
これは江戸時代に流行っていた「唐桟」を忠実に再現されています。

西村氏による製作が始まり、今から約10数年前メディアに取り上げられたこともあり幅広い年齢層の方たちが買いに訪れたそうです。
今は工場が封鎖されたり、職人さんの高齢化が進み織る量も減っているそうですが、根強いファンが買いに訪れています。

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今回は<呉服 かんだ>で「川越唐桟」についてお話を伺いました。
今では機屋が少なく、専門で織っている人はいないそうです。
神田さんは西村氏をリスペクトし、当時と同じ触り心地の「川唐」にこだわり、販売を続けておられます。
唐桟の良さは「縞模様」と「つるっとした手触り」です。

『呉服屋と聞くと敷居が高いという印象があったり、着物というと女性が着るものというイメージがあるかもしれません。
しかし、唐桟の着物は値段もお手頃な価格なので、初めて着物に挑戦される方におすすめです。そして何より、男性にもおすすめの着物なんです!』と神田さんは仰います。

江戸の粋な感性が詰まった川越唐桟を着て、気軽な着物ライフを楽しんでみてはいかがでしょうか。

「小江戸 川越 一番街商店街」を訪れた際は気軽に<呉服 かんだ>を覗いてみてください。
そして実際に生地を触って「川唐」の良さを感じてみてください!

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呉服 かんだ
●住所:埼玉県川越市幸町3-1
●電話:049-222-1235
●営業時間:10:00〜19:00
●定休日:火曜日・水曜日(当面の間)
●HP:https://www.gofuku-kanda.net/
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※データは2021年11月時点での情報です。
最新の情報は店舗にお問い合わせください。

▼STAFF
モデル:窪内いくみ・黒川あき(アウグストゥス)
撮影:岩嵜一真
取材・文:キモノプラス編集部