《加賀友禅でおでかけ》江戸時代から続く茶屋文化が堪能できる、ひがし茶屋街。
武家の町、寺の町、商人の町など様々な城下町を歩くのが楽しい金沢。
中でも、ひときわ艶やかな風情とともに金沢の茶屋文化をいまに伝えているのが、ひがし・にし・主計町(かずえまち)の3つの茶屋街です。
お茶屋さんとは、芸妓さんが客人をもてなす大人の社交場で、一見さんお断りのしきたりが今もなお守られています。
日中は大勢の観光客で賑わう通りも、軒灯がともる頃になると三味線や太鼓の音が聞こえ、夜の街へとその表情を変えます。
今回は、その中でも一番大きなひがし茶屋街を加賀友禅を着て歩いてみました。
【目次】
1.江戸時代からの歴史が色濃く残る、ノスタルジックな街
2.金沢で一番大きなお茶屋建築「懐華樓」を見学!
3.ひがし茶屋街の裏通りで見つけた、お豆にほっこり癒されるカフェ
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【1.江戸時代からの歴史が色濃く残る、ノスタルジックな街】

ひがし茶屋街は、金沢文化を代表する茶屋街のひとつで、重要伝統的建造物群保存地区として、復元された茶屋や酒場が並ぶ風情あるスポットです。
誕生したのは、文政3年(1820)とされており、それまで城下に点在していた茶屋を加賀藩公認のもと浅野川の東と犀川の西に集め、新たな町割りがなされました。
ひがし茶屋街周辺には、当時90軒あまりの茶屋が建ち並んでいたと言われています。

木虫籠(きむすこ)と呼ばれる隙間の狭い出格子は、ひがし茶屋街ならではの特徴ある町家建築で、内から外はよく見えるのに、外から内は見えにくい構造になっているなど、じっくり街歩きをしてみると様々な発見があります。
「ひがし茶屋休憩館」には観光ガイドの「まいどさん」が常駐しているので、茶屋文化の歴史や金沢町家についてガイドをお願いしてみるのも良いかもしれませんね。
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【2.金沢で一番大きなお茶屋建築「懐華樓」を見学!】
ひがし茶屋街のメイン通りの中ほどにある、江戸時代に建てられた茶屋の建物を一般公開している「懐華樓」。
こちらではなんと、現在も一見さんお断りで「一客一亭」のお座敷があげられていると伺って、さっそく見学してみました。

玄関に入るとまず目を引くのが、鮮やかな輪島塗の朱色の階段です。
昔ながらの吹き抜けになった階段は、お座敷で奏でられる音曲を表通りに響かせるための工夫なんだとか。

そして2階に上がると、朱色の壁が印象的な大座敷「朱の間」、奥に進むと青の壁の貴賓室「群青の間」があり、粋なしつらえと豪華な装飾や調度品など、金沢らしい茶屋文化の美意識を感じることができます。

この客間と客間の間に廊下がわりとして使われている小部屋の、赤い畳のへりは卍の形を表しています。
通常だと畳のへりを踏むことは、格式や序列に反した無作法な行為と見なされタブーとされていますが、ここでは踏むと邪念を浄化してくれるのだそうです。
知れば知るほど、面白い文化がたくさんありますね。

1階に降りると、一番の見どころと言われる絢爛豪華な「金の茶室」へ。
ここは黄金の畳が敷かれている茶室で、水引に金箔を巻いてそれをイグサの代わりに折ってあるそうです。
日本でもここにしかない、とても贅沢な茶室は一見の価値ありです!

併設している「懐華樓カフェ」では、素材にこだわった甘味も味わえます。
金箔をぜいたくにあしらった黒蜜に、作り立ての自家製くずきりを絡めて頂く「懐華樓名物 黄金くずきり」は、金箔の街・金沢ならではのゴージャスな一品。
他にも、抹茶を使ったパフェや金箔をふんだんに浮かべた黄金コーヒーなど、フォトジェニックなメニューがいっぱいです。
約200年続く茶屋建築や茶屋文化を身近に感じられる「懐華樓」。
ゆったり上質な空間で、あなたも金沢らしさを満喫してみてはいかが?
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懐華樓
●住所:金沢市東山1−14~18
●アクセス:橋場町バス停から徒歩約5分
●電話:076−253−0591
●時間:10〜17時
●休み:不定休
●見学料:750円、小・中・高校生500円
●HP:http://www.kaikaro.jp/
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【3.ひがし茶屋街の裏通りで見つけた、お豆にほっこり癒されるカフェ】
メイン通りを抜けた静かな裏通りに、築85年の金澤町家をリノベーションしたカフェ「豆月」があります。
入り口には飛び石があったり、店内奥にある坪庭が四季折々の表情を見せてくれる情緒あふれた空間。

そんな着物が似合う素敵なカフェでいただけるのが、店名にもなっているお豆を使った多彩なメニュー。
人気の週替わりの豆スープは、豆本来の甘みや旨味をしっかりと感じさせてくれる一杯です。

この日は、塩味の効いた豆がアクセントになっている「栗かぼちゃと大手亡豆の濃厚ポタージュ」。
お豆を使った日替わりご飯付きで、小さな豆皿には季節のひと品も添えられています。

そしてこちらのお店で外せないのが、「黒豆かん」(お持ち帰り可能)。
店主が子どもの頃に北海道で一緒に暮らしていた祖母が作ってくれた豆煮を再現したもので、じっくり時間をかけて炊いた黒豆と自家製寒天を合わせた、シンプルだけど奥深いスイーツです。
素朴な味わいに、ほっこり心が和みます。

他にも豆腐と黒豆を組み合わせたしっとりふわふわなシフォンケーキや、ぷっくりとした豆が愛らしい「四色福豆しるこ」など、まさに豆づくし!
散策でちょっと疲れたら、裏通りにある穴場なカフェで、おいしいおやつと金澤町家のしつらえを堪能してみるのもいいですね。
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豆月
●住所:金沢市東山2−3−21
●アクセス:橋場町バス停から徒歩約10分
●電話:076−256−0465
●時間:11〜18時
●休み:水曜・木曜
●Instagram:https://www.instagram.com/mamezuki_kanazawa/
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ひがし茶屋街のまち歩き、いかがでしたか?
日中はおみやげ店などがひしめき合う人気の観光スポットですが、金沢ならではの歴史や文化が学べる場所もたくさんあるので、ぜひ自分なりの楽しみ方を見つけてみてくださいね。
通りには着物を着て撮影したくなる写真スポットもたくさんあるので、写真撮影もお忘れなく!
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【衣装協力】
着物レンタルあかり

「あかり」は、創業90余年を迎える加賀友禅の老舗呉服店が営む着物レンタルショップです。
金沢の台所と呼ばれる近江町市場内にあるので、観光の際に気軽に立ち寄れる立地も魅力のひとつ。
おしゃれ着物からメンズ着物・加賀友禅まで充実した品揃えと、着付けも含めたお手頃価格が自慢のお店です!
●住所:石川県金沢市下松原町49
●アクセス:武蔵ヶ辻・近江町市場バス停から徒歩約3分
●電話:076−201−8119
●時間:9時〜18時
●休み:水曜
●料金:ベーシック着物プラン 2,970円、カップル着物プラン 7,370円〜、加賀友禅3時間パック22,000円
●HP:https://akari-kanazawa.jp/
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※データは2021年9月時点での情報です。
掲載している料金は原則として税込み価格です
最新の情報は各スポットにお問合せください。
▼STAFF
撮影:山本さくら
モデル:ayaka
スタイリング・着付け:着物レンタル あかり
編集・文:村田麻美(CYAN)