文様図鑑 vol.19 鱗(うろこ)

美しい自然を切り取った文様に、幸せを願う吉祥紋、時にはダジャレを効かせた落紋など、着物には数え切れないほどたくさんの文様を見つけることができます。
デザイン性の高さはもちろんのこと、その文様に込められた意味を知ると着物はもっと面白くなるはず!「文様図鑑」では毎回、着物や帯から素敵な文様を紹介します。
三角形を組み合わせてできている「鱗」です。

※写真は袋帯の一部

鱗文様は、正三角形あるいは二等辺三角形を上下左右に連続して配置した「幾何文様」の一つです。三角形の連続する様子を魚や龍、蛇の鱗に似ていることから「鱗文様」と呼ばれるようになりました。鎌倉幕府の北条時政の旗印は三角形を3つ重ねた三鱗でした。

※三鱗文様

※写真は長襦袢の一部

三角の文様は古くから魔物や病を示すものと言われていました。
装飾などに三角が使われるのはあえて魔物の印を描くことで忌み嫌うものを追い払おうとしたとも言われています。
そうして、三角は厄除けの意味で使われるようになり、長襦袢などで描かれ厄除けのために着る習慣が出来上がっています。