和装のときこそ使いたい! 一枚で万能なふろしき活用術

一枚で包む、運ぶ、収納する、覆う、保護する、飾るなどさまざまな用途で用いられ、繰り返し使うことのできる「ふろしき」。物を大切にする暮らしが根付いてきた日本の文化が詰まったアイテムとして、昨今改めてその価値が見直されています。
和装が日常だった江戸時代に庶民の間で定着したふろしきは当然、着物との相性は抜群。今回はふろしき初心者の方に向けた活用術をほんの少しだけレクチャーします!
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ふろしきの基本! 季節のごあいさつに便利な「お使い包み」
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「お使い包み」は気軽な贈り物からお弁当などにも用いられる、ふろしきの基本ともいえる包み方。ふろしきの角が上下左右になるように置き、対角線が交差する中央に物をのせたら、下、上の順番で布を物にかぶせて左右を結べば完成です。
ふろしきで包むことには、実はさまざまな意味が込められています。ほこり除けとしてはもちろん、包むことは物を大切にする心や相手への敬意を込める行為でもあり、結ぶことは外界と異なる清らかな空間をつくり出し結界をつくるという役割もあります。

ふろしきは選ぶ色や模様で、使う人の心や日本の豊かな四季の移ろいを静かに語り伝える道具でもあります。
四隅に異なる色が入る「枡取(ますどり)ぼかし」(写真:68cm 絹100% 16,500円税込/東京唐草屋)は、季節や目的に合わせて表に出す色を変えられるので幅広いシーンで活躍する一枚です。
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重たいものもラクラク! そのままギフトにもできる「すっきり包み」
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パーティーや食事会へのお呼ばれシーンでワインなどを差し入れするときに使える「すっきり包み」。二つの同じ形のものを文字通りすっきりとまとめる包み方は、びん以外でも応用できるので覚えておくと便利ですよ。
一般的なエコバッグや紙袋と異なり、ふろしきは包む形を選ばないので持ち歩きの際にも中身が泳がず、重たいものも運びやすくなります。また、細い紐が食い込む紙袋やビニール袋と違って手も痛くなりにくく、取っ手がちぎれてしまう心配もいりません。

「すっきり包み」もまずはふろしきの角が上下左右になるように置きます。包みたいものを両端からころころと転がしながら布でくるみ、中央に揃えます。下の布を上にかぶせてびんの上部で一度結び、残った布で持ち手となる輪をつくってもう一度小さく結べば完成です。
ふろしきは相手へ贈り物を渡す前に包みをとくのが基本の使い方ですが、カジュアルシーンではラッピングとしてふろしきで包んだまま相手へ贈るのも粋な使い方。
両面染のふろしき「シャンタン両面無地(茶/金茶)」(90cm 綿100% 2,200円税込/東京唐草屋)なら、開けたときに表と違う色が現れるのでちょっとしたサプライズにもなりますよ。
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実は万能選手! ころんとかわいい「すいか包み」
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まるい形が愛らしいこちらは「すいか包み」。スイカのように袋選びが難しい丸くて大きなものも簡単に包めるのがふろしきの大きな魅力です。
スイカを持ち歩く機会はそんなにないかもしれませんが、おけいこや買い物など荷物の多い日にも便利な包み方。開口部をキュッと締めて持ち歩くので、汚したくないものを運ぶときや、中身を見せたくないときにも重宝します。

すいか包みもとっても簡単。隣り合う角同士で大小異なるサイズの結び目をつくります。包みたいものを袋の中に入れたら、持ち手になる小さい結びを大きな結びの下の輪へ通して、形を整えたら完成。
重たいものを運ぶ時は、生地が丈夫な綿素材のふろしきがぴったり。綿のふろしきはお手入れもしやすく色柄も豊富。手に入れやすい価格なので、季節や気分に合わせた一枚を楽しんで。
今回は、伝統的なモチーフを現代的にアレンジしたコトイマシリーズの「ミツバ(ヒワ色)」(90cm 綿100% 1,980円税込/東京唐草屋)をセレクト。ハートを散りばめたような三つ葉柄はうれしいことを運んできてくれそうです。
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いつものバッグが大変身! 雨よけにもなる着せ替えアレンジ
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覆ったり、飾ったりするのもふろしきの得意技。たとえば、着物に合わせることの多いカゴバッグもふろしき一枚で大胆アレンジができちゃいます。雨よけにもなるのでぜひ覚えておいて。
着せ替えアレンジは、ふろしきの辺と平行になるようにバッグを中心へ置き、バッグ全体を包みます。隣り合う角を持ち手の内側へと通して外側で結び目をつくればできあがりです。
使用したのは「さきらフェアリーピンク」(100cm 綿100% 5,250円税込/東京唐草屋)。水彩で描いたような淡いカラーリングの水玉模様は、愛らしくもどこか上品。使い慣れたカゴがあっという間にコーディネートの主役へと生まれ変わりました。

ふろしきの包み方を本当にほんの少しだけご紹介しましたが、いかがでしたか? 包んで運ぶ用途以外にも、着物でのおでかけでは膝掛けや前掛け、敷物として、生活の中でテーブルクロスやタペストリー、スカーフ代わりにアクセサリーとしても使えます。
シンプルな四角い布ながらも無限大と言っても過言ではない、幅広い使い道があるふろしき。日本の文化や風習、生活の知恵が詰まっていて、和装の日や日々の暮らしをもっと豊かにしてくれます。自由なアイディアでさまざまな使い方を楽しんでみてくださいね。
▼STAFF
撮影:sono(bean)
スタイリング、着つけ:佐川由希
ヘア&メイク:亀田春佳
モデル:真仲ひかり(SHREW)
編集・文:君島有紀
▼衣装提供
おべべとにゃんこ
https://www.obenyan.com/
▼ふろしき提供
東京唐草屋
http://www.karakusaya.co.jp/tokyo.html