“KIMONO MODERN” オンライン時代のライフスタイルに寄り添う、着物ブランドの挑戦

「ワンピースときどき、着物。」というコンセプトのもと、「こんなの欲しかった」という普段着カジュアルな着物ブランドとして、普段着着物のユーザーから強い支持を得ているKIMONO MODERN。
実は意外にも創業者がブログをスタートして20年という、歴史あるブランド。
▼KIMONO MODERN代表の濱田友紀子さんのインタビュー記事
https://www.kimonoplus.com/column/11153/
今回は、KIMONO MODERNが20年もお客様に愛され続けた秘密と、着物ファンの体験価値を高めるための様々な取り組みの裏側について探ってみたいと思います。
お客さんとの共感:「オンラインで着物を買う」心のハードルをなくす「THE GUIDE SHOP」


今の世の中では、Amazonや楽天をはじめとした「オンラインショップ」は、国内外で主流となり、人々の生活を便利なものにしています。
今でこそ、着物業界においてもオンラインショップをオープンしている会社は少なくありませんが、実はKIMONO MODERNは2004年にブログを開設、着物業界の中でもかなり早い時期である2006年ごろにオンラインでの着物の販売をスタートし、WEBショップ運営を続けてきました。
その経験とノウハウを生かし、現在もWEBショップを中心に、世界中どこからでも、気軽にお買い物ができる着物ブランドとして成長を続けています。
THE GUIDE SHOP
KIMONO MODERNの先進的な取り組みの中でも、オンラインで着物を買う時に不安を感じる方に是非ご紹介したいのは「THE GUIDE SHOP」です。
着物に限らず、一般的にブランドがオンラインで商品を販売していく中で向き合うことの多い課題の中に、お客さんが抱えるサイズや着用感、コーディネートへの不安や悩みに関する課題があります。
読者の皆様の中にも、サイズや色合いが思っていたものと違っていたり、手持ちのアイテムと合わせてみたらしっくりこなかったりと、悔やまれる経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
KIMONO MODERNでは、そのような課題を解消するための「THE GUIDE SHOP」という着物業界初の試着専門店(リアル店舗)を展開しています。
THE GUIDE SHOPは、オンラインで販売されているアイテムを実際に試着できたり、素材感や色の確認、コーディネートや着付けの相談ができたりする店舗で、展示されている商品はWEBから注文し自宅に届く仕組みになっています。(※一部商品は店頭でも購入可能)
これにより、気に入ったアイテムを手ぶらで購入できるだけでなく、その場で購入の決断をしたくない場合、一旦家に帰ってから納得できたタイミングでWEBから購入することが可能になっています。
このように、THE GUIDE SHOPでは「着物屋さんで無理に買わされるのが怖い」という声に寄り添い、プレッシャーを感じずに、自分のペースでお買い物ができるフラットな空間の提供を心がけているといいます。
・THE GUIDE SHOPでできること
1. 試着:サイズ感や着用感を試着して確認。
2. 相談:コーディネートや寸法、必要な小物など、キモノ初心者も安心して相談可能。
3. レッスンやワークショップ:着付けやキモノライフをサポートするためのイベントも開催。
4. 店舗で購入手続き:オンラインショッピングが苦手な方のために、スタッフが購入をお手伝い。
▼THE GUIDE SHOPの詳細はこちらから
https://www.kimonomodern.com/blog/?cat=7
・オンラインでのコーディネート相談もスタート

今年6月から、お客さんとの新たなコミュニケーションの場として『お家 de パーソナルスタイリング』を開始。
KIMONO MODERNの着物や手持ちの着物に合うコーディネートをオンラインで相談できるというもので、3分ほどで終了するフォームに必要情報をいれれば、スタイリストからコーディネートのご提案写真とアドバイスが届くサービスです。
▼詳しくはこちら
https://www.kimonomodern.com/blog/?p=10214
「THE GUIDE SHOP」のように、お客さんの抱える不安や悩みに寄り添ったサービスを展開するKIMONO MODERNは着物業界の中でもオンライン時代の一歩先を行き、お客さんとともに成長しているブランドとも言えます。
作り手との共感:作り手と使い手を繋げ、伝統や文化を後世に受け継ぐ「カケハシ」に

KIMONO MODERNでは、着物を着たいけれど敷居が高くて一歩が踏み出せないといった人たちでも、着物を気軽に始められるよう、間口を広げたいという想いで、レースや綿素材の「ワンピース感覚」のカジュアル着物を提供しています。
その一方で、伝統産業が抱える課題にも向き合い、日本の伝統や文化を後世に伝え残していくために、伝統的な技法や文化を反映した「産地キモノ」も豊富に取り扱っています。
産地キモノ・伝統文化とものづくりへの想い
ピーク時には1.8兆円の市場規模があった着物産業ですが、現在では約2200億円(2024年予測)と9分の1ほどに縮小しています。
市場が小さくなることで特に打撃を受けているのが「着物の産地」です。
KIMONO MODERNでも、ものづくりのために産地や工房を訪れ、作り手の方々と話をする中で、コロナ禍や物価高騰、職人の高齢化や後継者問題など、着物業界の厳しい現実を肌で感じてきたと言います。
それと同時に、作り手の方々が抱く熱意や想いに深く共感し、彼らが語るワクワクするようなアイデアをKIMONO MODERNで実現するという強い意志を抱いています。
そして、産地とのコラボレーション活動を積極的に実施することで、産地との想いをカタチにしています。
KIMONO MODERNにとって、産地とのコラボは、
「日本人が守るべき伝統や文化を後世に伝え残していく」という、ブランドが掲げるミッションの一つを実現する活動であり、産地とともに新しい商品を生み出すだけでなく、お客さんと産地を繋げるためのイベントを実施するなど、多岐にわたったコラボ活動を広げられています。
産地との取り組み
1. コラボ&オリジナル商品(一例)

▲浜松注染ゆかた(静岡)

▲阿波しじら-大人の兵児帯 biocolor(徳島)

▲織物の産地として有名な桐生メーカーとの開発商品(大人の兵児帯)

▲創業160周年の老舗「ゑびす足袋」とのコラボで生まれた業界初の「カラー底」のカラフルで可愛い足袋。

▲相次ぐ下駄メーカーや鼻緒職人たちの廃業により、生産が困難になり希少価値が上がっている「みやべもくり」とのコラボ下駄(愛媛)

▲KIMONO MODERNで人気のレース着物や帯に使用している生地を鼻緒にあしらった、カレンブロッソとのコラボ商品

▲「和山陶器」とのコラボ帯留め(波佐見焼・佐賀)
※主な取り扱い産地 久留米絣、遠州木綿、伊勢木綿、米沢木綿、阿波しじら、小千谷縮、注染ゆかた(竺仙)、丹後ちりめん、博多織、桐生織、こぎん刺、美濃焼、波佐見焼
2. 全国POP UPやTHE GUIDE SHOPを拠点としたイベント

近年では2024年4月に西村織物(博多織)やワタマサ(丹後ちりめん)との合同イベントを開催し、産地とお客様を繋げる取り組みを実施。
過去には、久留米絣-岡本商店様(2020年@VIORO天神 / 2021年@東京・重要文化財自由学園明日館)「POP UP キャラバンin 蔦屋書店」(2018-2019年@福岡・広島・湘南・梅田)をはじめ、新宿伊勢丹、阪急梅田百貨店、JR高島屋(名古屋・京都・横浜)など百貨店とのお取り組みも多数。
3. 久留米絣大博覧会
その他、久留米絣産地との関わりも強く、2024年夏、博多大丸にて、久留米絣組合の「第二回「久留米絣大博覧会」~ つくる、伝える、使う人たち~(2024年7月31日-8月5日)」に参加予定。
このように、KIMONO MODERNは、カジュアルでありながらも伝統技術や日本文化の美しさを感じられるアイテム作りや、産地のモノ作りを応援する取り組みを積極的に行うことで、産地とお客さんを繋げる架け橋の役割を果たしています。
「共感」が育てるKIMONO MODERNブランド

▲お客様やスタッフの「こんなの欲しかった!」を採用して形にした2024年の夏キモノ浴衣シリーズ
KIMONO MODERNは、常に新しい視点で『キモノ』と『キモノを楽しむコト』を顧客に届けることもミッションの1つに掲げています。
お客さんからの声に耳を傾け、全スタッフで膨らませたアイデアを実現するために欠かせないこととして、スタッフの働く環境づくりにも力を入れています。
実はKIMONO MODERNのスタッフは全員女性で、その半数は子育て中のお母さんです。
代表の濱田さん自身も、子育てをしながら経営してきた経験があるため、社内の風通しが良く、スタッフそれぞれのライフスタイルやライフステージに合わせた働き方が推奨されています。
また、スタッフ自身がKIMONO MODERNのファンであり、「KIMONO MODERNの商品って、かわいいよね!」と思い、共感できる仲間が集まっていると言います。
このように、異なるバックグラウンドを持ちながらも、共感し合えるメンバー同士だからこそ、豊富なアイデアが生まれ、顧客のかゆいところに手が届く魅力的なサービスや商品の提供が実現できるのでしょう。
そして、ユニークな取り組みの1つとして、KIMONO MODERNではスタッフが「やりたいこと」を考える前に「やりたくないこと」に向き合うことも大切にしていると言います。
この「やりたくないこと」には、着物が好きな方々にとって共感できるものがあるのではないでしょうか。
「意味のない決まりやルールに縛られること」
「無理やりの販売」
「作業だけの温かみのない業務」
KIMONO MODERNでは、このような「やりたくないこと」をなくし、スタッフ自身が理想とする魅力的なブランドづくりや働く環境づくりを積極的に進めています。
スタッフが喜びを感じ、その喜びが顧客に伝わり、全員が前向きでいられるという好循環を生み出すことが、KIMONO MODERN(株式会社WITH THE MODERN)の理想とする姿なのです。


いかがでしたでしょうか。
KIMONO MODERNが「共感」を大切にし、お客さんや作り手とともに、生き生きとしたブランド作りを目指している姿勢が「THE GUIDE SHOP」や「産地キモノ」、「働く人たち」を通して伝わってくるのではないでしょうか。
KIMONO MODERNの公式オンラインショップでは、さまざまな着物アイテムを手軽にお買い求めいただけます。
全国どこからでも、オンラインで簡単にご注文いただけます。
ぜひ、オンラインショップを訪れて、素敵な着物アイテムを見つけてみてはいかがでしょうか。
オンラインショップはこちらから↓
2024年7月5日 SUMMER SALEスタート
https://www.kimonomodern.com/
THE GUIDE SHOP 店舗・POP UP情報はこちらから↓
https://www.kimonomodern.com/blog/?cat=7
▼STAFF
キモノプラス編集部
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