文様図鑑 vol.23 宝尽くし
美しい自然を切り取った文様に、幸せを願う吉祥紋、時にはダジャレを効かせた洒落紋など、着物には数え切れないほどたくさんの文様を見つけることができます。
デザイン性の高さはもちろんのこと、その文様に込められた意味を知ると着物はもっと面白くなるはず!「文様図鑑」では毎回、着物や帯から素敵な文様を紹介します。
今回は、宝物を並べた縁起の良い柄の「宝尽くし」です。

※写真は訪問着の一部
もとは、中国の文様で、中国思想の吉祥思想から由来とされています。
それが、室町時代に日本に伝わり、日本の打出の小槌などが使われアレンジされ今の宝尽くしの柄になりました。その中で代表的な柄を紹介させていただきます。

①打出の小槌(うちでのこづち)
七福神の大黒天が持っていて、振れば欲しいものが手に入ると言われている縁起物。
②宝鑰(ほうやく)
蔵を開ける鍵で、先端が雷文に曲がっている。
③隠れ蓑(かくれみの)
天狗が持っているとも言われ、着ると他人から姿が見えなくなるとされています。
藁などで作られ寒さや雨などから身を守るもの。
④丁字(ちょうじ)
丁字はクローブのことで果実の一種になります。
平安時代に伝わり、薬用、染料など様々に使われ、希少価値が高いともされていました。

⑤宝巻・巻軸(ほうかん・まきじく)
宝巻はありがたいお経が書かれたものになっております。
知恵の象徴と言われることもあります。
⑥筒守り(つつまもり)
宝巻などを入れる筒状のもので、宝尽くしでは、クロスして描かれることが多いです。
⑦金嚢(きんのう)
福徳を呼ぶ柄とされています。
お守りやお金などを入れる袋のことです。
⑧分銅(ぶんどう)
秤で重さを測るときに使われるものを言います。
分銅をたくさん持つということは、それだけ金銀があるということで
富の象徴ともされています。