PAGE
TOP

キモノ工芸辞典<い>

<伊勢形紙>
三重県鈴鹿市の伝統工芸で、着物を染める型紙として古くから使われています。
和紙を200〜500枚重ね、柿渋で強さを持たせた型地紙に小刃や彫刻刀で柄を掘っていきます。友禅や浴衣、小紋などの染めに用いられています。
伊勢形紙のデザイン・意匠性は19世紀後半に欧米にもたらされ、当時ヨーロッパで流行した「ジャポニズム」に代表されるフランスのアール・ヌーヴォー様式やイギリスのアーツ・アンド・クラフツなどの芸術運動にも影響を与えました。

<伊勢木綿>
江戸時代から続く三重県指定の伝統工芸品、「伊勢木綿」
伊勢木綿に使われる木綿糸は綿(わた)に近い繊細な糸を用います。
糊で固めてゆっくりと織った生地は、糊が落ちるにつれて木綿本来のふわっとした性質に戻ろうとするため、着れば着るほど柔らかい肌触りになっていきます。

<板締め絞り>
たたんだ生地を2枚の木型で強く挟み、染料に浸けることで染め上げる技法。
生地のたたみ方や染料に浸ける箇所で染め上がりの柄が変化します。
浴衣や手ぬぐいに染められます。

<一珍染め(いっちん)>
小麦粉に消石灰やふのりなどを混ぜた糊を用いて防染し染めます。
糊が乾燥してできた独特なひび割れに染料が入り込み「氷割れ」という独特な風合いに染め上がります。友禅染めが普及する以前の江戸時代初期、狩野探幽の弟子だった久隈守影が一陳(一珍斎)を号とし完成させたのがこの一珍染めです。

<石摺(いしずり)>
石摺りは無地染めの技法のひとつです。
染めた布地を石の石肌や柄を削り出した石板を利用したり、木目の立った板、文様を彫ったものの上に置いてブラシやバレン、竹の皮で版画のように摺ることで、濃淡の色むらを出します。
版画のような要領で染めていくため、生地が強くなければならず、主に紬などに染められます。