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【インタビュー後編】着付け師・古久保芳栄さんに聞く、十二単の変わらない魅力。

京都府のウェスティン都ホテル内にある『ビューティサロンPure』の4代目店長であり、十二単の着付け師としても活躍されている古久保芳栄さん。

今回は、そんな古久保さんにお話を伺いました。
後編では、十二単の人気の理由や古久保さんご自身についてお伺いします。

古久保さん協力の十二単企画はこちらから⇩
時を越えた女性憧れの衣装、十二単の魅力に迫る!①
https://www.kimonoplus.com/columns/838/lang/ja-JP/5

時を越えた女性憧れの衣装、十二単の魅力に迫る!②
https://www.kimonoplus.com/columns/851/lang/ja-JP/5

時を越えた女性憧れの衣装、十二単の魅力に迫る!③
https://www.kimonoplus.com/columns/872/lang/ja-JP/5

インタビュー前編
https://www.kimonoplus.com/columns/892/lang/ja-JP/7

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十二単のもつ'特別感'とは
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——十二単はブライダルなどでよく着られるんですか?

『いえ、こちらでは、何年かに1度の割合ですね。
ウェディングドレスや和装に比べると全然少ないです。
ただ、芸能人の方がテレビで着られると、着てみたいという方も増えますね。
例えば、藤原紀香さんが結婚式で十二単を着られた際は、その年と次の年に着たいという方が一気に増えました。
多分、テレビで見て初めて(あ、結婚式に十二単って着られるんだ)と知る方も多かったのだと思います。
もっと「結婚式で着られるんだよー」って発信していきたいんですけどね・・・(笑)』

——十二単が今も昔も憧れの衣装である理由は?

『やっぱり、華やかだからだと思います。
あとは、特別感ですね。今でこそ十二単の体験やブライダルなどで着れる機会は多少ありますが、昔はとくに貸衣装もなければ何もない時代。
目にすることもない、着ることが絶対できない、そんな特別な衣装でした。

その特別感は今でもあって、天皇が変わられるときや、ご婚礼の時にしか目にしない遠い存在のもの。
私が十二単のお服上げのショーをしたときも、皇室に興味がある方々がネットで情報を見て来られました。
宮中でしか着られない特別な装束なので、皇室に興味がある方々にとっては特に憧れであり人気の装束なんです。』

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衣装として、文化として、変わらないもの
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——古久保さんの思う十二単の魅力は何ですか?

『そうですね~。
私の思う魅力は、「礼に始まり礼に終わる」と「精神の統一」です。
十二単をお服上げすると、気持ちが整うんです。
あとは、「伝承の魅力」ですね。
日本の皇室の衣装って、世界で一番素材や形がそのまま受け継がれているんです。
他の国ではずっと伝承されているものって中々ないので、素材や形を変えないで皇室で受け継がれている、その伝承も十二単の魅力だと思います。』

——十二単は今後、どうなると思いますか?どうなっていってほしいですか?

『変わらないでいてほしいです。
というか、皇室がある限り十二単は続くものだし、変わらないと思います。

皇室の儀式というのは昔からずっと伝承されているものであって、十二単もその1つ。
十二単の'つくり'も、紋様も、色味も、ずっと変わっていません。
十二単の簡易的なバージョンが増えているのは、時代の流れであり仕方のないことだけど、正式なものはずっと伝承されています。
衣装としても、文化としても、そこはこれから先も変わらないでほしいです。』

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いまと、これから。
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『今までは、ずっと勉強してたり習い事してたり・・・と何かに追われているようなバタバタの日々で、正直あまり楽しめてはいなかったんですけど、最近になってお仕事が楽しいと思うようになりました。
経営者の立場になって、自分が頑張らないと!というプレッシャーはもちろんあるんですけど、最近になってやっと気持ちに余裕を持って仕事ができるようになってきました。』

そう語る古久保さん。
ご自身の今後の目標についてもお伺いしました。

『会社を今まで以上に発展させていきたいです。
やりたいことは色々あって、もっとこうしていきたい!と思うことも色々あります。
まだまだ勉強しないといけないことはいっぱいです・・・(笑)
あとは、雇用する人を増やしたいという目標もあります。
働きたくても働けない人は結構いらっしゃると思うんです。
そういった方々を雇用するお手伝いができたらいいな、と。』

また、「スマイルウォーキング倶楽部」というクラブの理事も務めている古久保さん。

『スマイルウォーキング倶楽部は、知的障がいのある子どもたちに姿勢や歩き方をレッスンする活動なんですが、その子たちが行うファッションショーでヘアメイクのお手伝いをしています。
レッスンを重ねるごとに、みんなの表情がどんどん変わっていって、そんなみんなの成長する姿や、その子たちが社会に出て仕事ができるようになる姿を見るのは、ブライダルとはまた違った楽しさがあります。
この活動ももっと発信して広げていきたいなって思います。』

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十二単が昔、宮中の女性たちを華やかに彩ったように。
古久保さんはこれからも、ヘアメイクを通じて、美容室に訪れるお客様やスマイルウォーキング倶楽部の子どもたちを彩ります。

【古久保芳栄】
京都市中京区生まれ。
紋章工芸を営む両親のもとに生まれ育つ。
フリーのヘアメイクアーティストとしての活動後、京都のウェスティン都ホテル4代目代表に就任。
プライベートでは犬を飼っており、一緒にドライブや旅行に行くのが趣味。

※プロフィールは、2021年11月の取材時点での情報です。
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▼STAFF
撮影:秀平(UNPLUGGED)
編集・文:キモノプラス編集部