スタイリストうさこまさんプロデュース!読者さん変身企画<お悩み解決!王道・アカ抜けコーデ編>

「着物を始めてみたいけど何から手をつけたらいいかわからない」「いつもワンパターンのコーデになってしまいマンネリ気味」など、着物のお悩みを抱える読者さんをキモノプラスで大募集!
アンティーク着物屋「うさぎ小町」の店主で、Youtubeでも大人気の着物スタイリスト・うさこまさんが提案する「ときめきコーデ」で大変身していただく企画。組み合わせやちょっとしたコツでグッとアカ抜けできちゃうポイントもご紹介します。
第3回目の今回、変身する読者さんは、着物でのおでかけを楽しむ一方で、着まわしがうまくいかないとお悩み中の松川祥子さん。購入してから一度も日の目を見ていないという着物が、うさこまさんの手で大人かわいいスタイルに大変身しちゃいます!
第一弾<憧れの和洋MIXコーデで着物デビュー編>はこちら→
https://www.kimono-plus.com/columns/645/lang/ja-JP/3
第二弾<和洋MIXにプラス!個性派アレンジ編>はこちら→
https://www.kimono-plus.com/columns/664/lang/ja-JP/3
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着物のお悩みを解決してくれる、うさこまさんってどんな人?
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神奈川県川崎市にある、レトロモダンなアンティーク着物やリサイクル着物を扱うお店「うさぎ小町」を10代で立ち上げた、うさこまさん。
店主としてお店に立つ傍で、2万2千人がチャンネル登録する着物系YouTuberとしても活躍する着物スタイリストで、二人のお子さんを持つママでもあります。
お得意は、現代ファッションの流行を取り入れつつ、レトロな味わいもトッピングした”青文字系”のスタイリング。今回の企画でも、自分らしく輝ける自由で楽しい着物コーディネートを提案してくれました。
もっと知りたい!うさこまさんインタビュー記事はこちら→
https://www.kimono-plus.com/columns/708/lang/ja-JP/7
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<お悩み>王道コーデが好き♡だけど、どこか野暮ったくて……
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普段はお母さまと一緒に親子で着物を楽しまれているという、着物歴約2年の松川さん。食事や観劇に着物でおでかけすることが多い松川さんの憧れは、大人かわいい上品な着こなし。でも、なかなかうまくいかないそう。
「ハレの日の着物をきっかけに着物を好きになったので王道コーデが好きなのですが、アイテムを変えてもいつも同じような着こなしになってしまうのが悩み。着姿もどこか野暮ったくて、先日友人からは『仲居さんみたいだね』と言われてしまいました。
柄物も好きで買ってはみるものの、手持ちのアイテムと合わせるのが難しくて結局着ないことも。この絞りの小紋も一目惚れで購入した一枚。とても気に入っていますが、柄が強すぎてどう着たらいいのかわからなくて困っています。無地なら合うかと西陣織の帯を中心に白い小物でまとめてみましたが、自分でもしっくりきていません。
王道コーデが嫌になった訳ではないんですが、もっとアカ抜けたオシャレな着こなしができたら、着物を着る機会が増えて、着物ももっと楽しくなると思って今回応募しました」
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<提案>色味を生かしながら品良くまとめて引き締める、
馴染ませ引き算コーデ
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まずは打ち合わせ。今回は、松川さんからうさこまさんにアドバイスしてほしいコーデを事前に確認。うさこまさんが用意したアイテムの中から、松川さんが好きな色味やときめくアイテムを選びながら新たなコーデを組み立てていきました。
「お着物めちゃくちゃかわいらしいです。これは着ないともったいない。松川さんのお顔立ちにとても似合うデザインなので色味を生かしながら、明るさと鮮やかさだけを引き算できるニュアンスカラーのアイテムをそろえました。着物以外のすべてを差し替えたいと思います。
着物は入り口に一歩踏み入れたものの、その先がわからなくて立ち止まってしまう人はとても多いんです。とくに正統派な着物スタイルから始めた人は、いざカジュアルなコーデを楽しもうとすると余計に悩んでしまうみたい。でも、そこからまた一歩進めると着物はもっともっと楽しくなりますよ」(うさこまさん)

今回使うアイテムが決定! 左上から時計周りに、イヤリング、半襦袢、帯、帯締め、帯留め、帯揚げ、半衿。すべてうさこまさんの私物でご用意いただきました。
「これまで着られなかった理由として今回のお着物がリサイクル品のため、お持ちの長襦袢とサイズが合わなかったことも挙げられていました。今日は筒袖の半襦袢をぜひ体験していただきたくご用意しました。
必ず長襦袢を着なくてはいけないと考える方も多いのですが、私は普段着の時はほぼ半襦袢と裾除けを愛用しています。筒袖の半襦袢ならサイズを選ばないので、リサイクル着物やお下がり着物を楽しみたい方にはとくに購入をおすすめしたいアイテムですね」(うさこまさん)
▼「うさこまチャンネル」でもチェック!
垢抜けたい着物女子が今日から頑張れる7つのこと→ https://www.youtube.com/watch?v=BDfCKfaB_eM
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<変身!> 「野暮ったコーデ」から洗練された「大人かわいいコーデ」に
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白は万能色ではありますが、ビフォアの帯や白い小物は艶のあるパキッとした白。一見、引き算コーデに見えますが、今回のケースでは帯や小物自体が浮いてしまっただけでなく、着物の色味もより鮮やかに引き立て、大人かわいいからは離れてしまう結果に。
”大人かわいい”をつくるには、実は色合いがとても大切。たとえば、明るいビビッドカラーよりも、くすんだニュアンスカラーの方が落ち着いた印象を与えるように、鮮やかさや明るさ、色数を抑えることがコツになります。
今回は色数を少なくすることはできないので、着物の柄と同系色の小物を加えて馴染ませることで全体の色味をやわらかく調和。鮮やかさと明るさをすっきりと抑え、より洗練された雰囲気へと格上げしました。
全体の印象を大きく左右する帯には、着物の柄と配色が似ているものをセレクト。ニュアンスカラーで着物との濃淡をつけることで、メリハリをつけながらもしっかり全体の色味をトーンダウン。品のある落ち着いたコーデにまとまりました。
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<小物>さりげなく存在感を放つアイテムを散りばめ、アカ抜け美人に
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(左上)しっとりと大人の表情を引き立てるのは、ほんのり色香のある淡いモーブピンクのレース半衿。着付けは肩幅や首の長さに合わせて、衣紋を深く抜いて襦袢の合わせを深く調節。半衿をたっぷりと見せる着付けで今っぽさもプラスしました。
(右上)アンティークビーズのような空気感を持つイヤリングで顔まわりを美しく。帯揚げ、帯留め、イヤリングは翡翠色でそろえ、ピンクのグラデーションを描き出す草履、帯締め、半衿。控えめながらもさりげない存在感を放つ小物使いがコーデ全体をアカ抜けた印象に格上げします。
(左下)ほっこりと落ち着いた質感の紬の帯は、小紋とも松川さんの雰囲気ともマッチ。ニュアンスカラーの帯に重ねるのは愛らしいパステルピンクの帯締め、アクセントには現代ものの七宝焼きの帯留めを。品のある佇まいながらも若い作家さんならではのフレッシュさも感じさせます。
(右下)全身のバランスを引き締めてくれるのは、発色のいいスモーキーピンクの草履。色と高さでボリュームが出る高台の草履はスタイルアップ効果も期待でき、足元までこだわりを見せることでオシャレ度が一気に上がります。
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<ヘアメイク>血色感+縦のライン!甘くなりすぎない大人の愛されスタイル
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メイクでも大人かわいいを目指していきます。松川さんはかわらしいお顔立ちのため、大人要素をメイクで足し、コンプレックスだという丸顔についても解消。メイクについても勉強中とのことでしたのでチャレンジしやすいようにフルメイクにはせず、ポイントだけを押さえたミニマムメイクに抑えました。
うさこまさんからのメイクオーダーは、ピンク+ボルドーで上品な血色感を加えたスタイル。ピンクは淡い色だと少女らしさが強まるので、赤みの強いコーラルピンクで甘くなり過ぎない大人ガーリーなイメージに。肌馴染みもよくメイク初心者さんにもトライしやすいカラーです。
目元にはコーラルピンクのシャドウでグラデーションを。アイホールには丸くのせずに目尻側へ少し濃くのせることで大人っぽさが光る切れ長の目を演出。まつげに大人の色気を感じさせるボルドーのマスカラで色味を統一し、より印象的な目に仕上げました。
丸顔さんは縦のラインを意識すると緩和されるので凹凸を意識して立体感を出すのが効果的。フェイスラインと頬骨の下にシェーディングをしっかりめに入れ、チークは頬のトップから中間くらいへ斜めにライン型に入れて、シュッとした雰囲気を加えます。

ヘアスタイルもセルフでもチャレンジできるまとめ髪を提案。おすすめは、上下二段にまとめるだけのお手軽お団子ヘア。4つのポイントをおさえることで、丸顔さんの印象を薄めて大人かわいいスタイルに仕上がります。
ポイント1。トップはふんわり、サイドはタイトに。丸顔さんはトップに高さを出すことが重要なので、まとめた後にトップ部分を引き出して頭全体を卵型のイメージに。
ポイント2は前髪。おでこを全部覆ってしまうと丸顔が強調されるので、シースルーや分け目をつくって縦のラインをを意識します。
ポイント3は、上のお団子を少し大きくすること。横から見たときにひし形のシルエットを目指すと丸顔が緩和されます。上下に髪を分けるときは、耳の上から真横にとると分け目の線が出てしまうので斜め上に向かってすくいましょう。
ポイント4。もみあげの部分を少しだけ引き出してアイロンをあてること。今っぽさがプラスされて、オシャレ度がアップ。”仲居さん感”も解消できます。アイロンなしだと疲れた印象になってしまうのでご注意を。
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<完成>多色使いもスッキリと!個性的だけど品のある
大人のお嬢さんスタイル
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松川さん「このままおでかけしたいくらい好きです、このコーデ♡ リサイクル着物なのに古さを感じさせない、今風のスタイルになりました。うれしいです」
うさこまさん「もともとこの着物が松川さんにすごく似合う。それを生かせてよかった」
松川さん「多色に多色を合わせているのにうるさくならずに落ち着いて見える。不思議です。うさこまさんマジックです。柄物のアイテムが増えてしまってコーディネートに困っていたんですが、柄と柄を合わせてもこんなにかわいくなると知ったのでいろいろ組み合わせてみます」
うさこまさん「着物は大胆な組み合わせも案外しっくりくるので、諦めずにいろいろ試してみてください。今日の着物なら地の色の紺系でそろえてワントーンコーデにしてもかわいいと思いますよ。例えば、帯は紺色ベースの細かい柄や幾何学模様でシンプルに、帯揚げには紺地に白いドット柄で粋なアクセントを加えたり。きっとワンピースのような着こなしが楽しめるはず」
松川さん「わ〜、それ絶対かわいい!ぜひやってみます。今日一番ときめいたのがこの半衿。帰りにでもすぐ買いたい!」
うさこまさん「tsubakiannさんのオーキッドレース半衿、かわいいですよね。半衿はパワーがあるので。ぜひに!」
松川さん「衣紋の抜き方や半衿をたっぷりと見せる着付けもすごく勉強になりました。本当にありがとうございました」
うさこまさん「参考になってよかった。着付けに正解はないから、自分にあったものをみつけていくしかないので研究あるのみです!私もまだまだ研究中の身ですから」

「うさこまさんの動画で好きなところは、最新の着物情報を知れることもそうですが、オシャレ小物を取り入れたとにかくかわいいコーディネートを紹介してくださるところ。
うさこまさんの動画を見て、着物をもっと日常的にかわいく楽しく着たいと思うようになって、紹介しているアクセを買いに行ったり、コーデを試したりしていたので、今日はもうずっと緊張と感激しっぱなしでした。
私にとって着物の楽しさは、洋服では選ばないような柄や色にも挑戦できること。王道が好きだけど人とはちょっと違うコーデにしたい、個性を出したいというよくばりな思いを今日は叶えてもらいました。
着物を着るといつも背筋がすっと伸びますが、今日は新しい自分に出会えて、凛とした大人の女性になれたような気分になれました。コーディネートもヘアメイクも、もっともっと勉強したくなりました。今日は貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました」(松川さん)
▼協力
出演・監修・スタイリング・着付け:うさこま
・うさぎ小町公式サイト https://usagikomachi.com/
・YouTube「うさこまチャンネル」
・Instagram @usagikomachi
▼STAFF
撮影:鈴木ジェニー
ヘア&メイク:亀田春佳
文:君島有紀