《秋単衣でおでかけ》装いに遊び心をプラスする「帯留め」を見つけに

季節を先取りするのが粋とされる着物スタイル。一般的に9月の中頃には夏の薄物はそろそろ役目を終え、徐々に単衣へと衣替えをしていきます。
秋の単衣でおでかけしたのは、東京・東神田にあるボタン専門店「CO-(コー)」。着物の装いに自分らしさをプラスする手づくりの帯留めにチャレンジするために、その素材となるボタンを探しにやってきました。
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まるで宝探し!一期一会の出会いがあるボタン専門店「CO-」
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イギリスを中心にフランスやイタリア、ドイツ、アメリカから買い付けたアンティークボタンやヴィンテージボタンを専門に扱う「CO-」。
神田金物通り沿いにあるお店までは、馬喰町駅西口出口2から歩いて約3分。馬喰横山駅や東日本橋駅からも同じ出口を利用できます。
問屋街として知られる馬喰町周辺は、ギャラリーやカフェ、雑貨店など個性的なお店も多く、休日のおでかけに楽しいエリア。同店にもギャラリースペースが併設され、不定期で作家さんの展示が行われています。
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軽やかで自由なカジュアルスタイルで楽しむ秋の休日
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今日のコーディネートはボタンをイメージ。ボタンを散りばめたような絞りが施された単衣は昭和中期の楊柳の小紋。楊柳生地はさらりとした肌ざわりで、暑さの残るこの時期にも涼やかに気持ちよく着られる一枚です。
帯は多色の糸で織られた活躍度の高い八寸帯。帯揚げには赤とんぼが飛ぶジョーゼット生地の古布を合わせて秋らしさも潜めました。
カジュアルなコーデではヘアメイクも自由で軽やかに。単衣と対照的なイエローやオレンジを使ったビタミンカラーメイクに、ヘアは着物の愛らしい絞りに合わせて弾むような玉ねぎヘアにアレンジ。暑さの残る秋のおでかけを元気いっぱいに楽しむフレッシュなスタイルに仕上げました。
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誰ともカブらないオンリーワンの「帯留め」を探して
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アンティークボタンやヴィンテージボタンだけなく、現代もののボタンやアクセサリー、オリジナルのパーツなども揃えるCO-。店内にはカジュアルに使えるお手頃なボタンから美術品のように美しい希少価値の高いボタンまで、さまざまなボタンがところ狭しと並んでいます。
今回つくりたいのは、帯の色を選ばない白い帯留め。目にとまったのは、18世紀から19世紀にかけてつくられた「狩猟ボタン」。貴族の男性がハンティングの際に着るジャケットのアクセントとして愛されたボタンなのだそう。
帯留めの始まりもちょうど同じ時期。当初は帯がほどけないための実用的な金具でしたが、明治に入り廃刀令が出ると失職した刀装具職人により装飾加工された帯留めが大流行。そこから徐々に現在のような着物の装いに個性を描く大切なアクセサリーへと変化していきました。

イタリアで生まれたヴィンテージカゼインボタンも惹かれたボタンのひとつ。カゼインとは、100年以上の歴史がある半合成樹脂素材のこと。
加工に向いているため、ボタン職人の高いクリエイティビティが発揮され、楽しいデザインやうっとりする手仕事のボタンが多いのだとか。
まるで宝探しをしているような気分になれるCO-。店内にあるボタンはデッドストックをはじめ、マーケットや蚤の市などで見つけたものが中心。一点ものも多いので、その時にしか出会えない一期一会を楽しんで。

あれやこれやと鏡の前で合わせてみては悩みに悩んだ帯留め探し。今回は、オーバル型白蝶貝に鳥が透かし彫りされた上品でかわいい「ベツレヘムパール Little」(3,520円税込)に決定!
ベツレヘムパールは、イエスキリストの生誕の地と言われるパレスチナ自治区のベツレヘムで、何世紀にもわたり受け継がれてきた手工芸品。
高い技術と経験が必要な透し彫りは、職人が祈り込めフリーハンドで施しているため、デザインは同じでもひとつひとつ表情が異なる点も愛おしさを感じたポイントです。

”モノを共有する、一緒に何かをする”という意味がある「CO-」。店主の小坂さんはボタンについての説明はもちろん、ボタンを使ったアクセサリーづくりについての相談にも乗ってくれます。実際、オンリーワンの帯留めを探しにくる方も多いのだそう。
興味深いボタンの話や楽しいボタン探しで時間が過ぎるのもあっという間。1時間程度の滞在時間はざらだというから、余裕を見ておでかけするのがおすすめです。
▼お店情報
CO-
東京都千代田区東神田1-8-11 森波ビル1F
TEL 03-5821-0170
https://co-ws.com/
▼STAFF
撮影:sono(bean)
スタイリング、着つけ:佐川由希
ヘア&メイク:亀田春佳
モデル:真仲ひかり(SHREW)
編集・文:君島有紀
▼衣装提供
おべべとにゃんこ
https://www.obenyan.com/