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袷と単衣。季節で変わる、着物の仕立て

洋服と違ってその形が決まっている着物ですが、気候に合わせて快適に着られるように仕立てには違いがあります。

一般に10月から5月までは裏地をつけて仕立てる「袷」、6月と9月には裏地をつけずに仕立てる「単衣」、7月と8月は6、9月同様に単衣仕立ての着物ですが、生地は薄物といって透け感のある夏物の生地を主に使います。

ただ近頃では1年を通して気温が高くなっているため、4月・5月から、また10月にも単衣を着たり、6月や9月でも気温の高い日は薄物を着るなど、自分の体感温度に合わせた着物選びがおすすめです。

◎袷(あわせ)

袖口、裾周りの裏地に「八掛」という裏地をつけて仕立てたものが「袷」の着物です。八掛は裏地ではありますが、袖口や歩いた時にちらりと裾から見えるので、表地に合わせた色選びも重要です。

表から見えない胴周りの裏地には「胴裏」という薄手の生地を使います。近年では暑い日が多いことから、この胴裏をつけない「胴抜き仕立て」を選ぶ人も増えています。

◎単衣(ひとえ)

裏地を付けずに仕立てるのが「単衣仕立て」です。

一般家庭でたくさんの着物を持つことができなかった時代には、同じ着物を寒い季節には袷に、6月が近づくと裏地を外して単衣に仕立てなおして着ていました。

◎薄物

透け感のある生地は薄物といって7月、8月に着用することが多いです。

薄物は生地が薄いので、座る時などに力のかかるお尻の部分は裂けやすいので背中心には「背伏せ(せぶせ)」という補強が付いています。

またお尻部分の補強、透け防止のために腰回りの裏に薄手の裏地「居敷当て(いしきあて)」をつけることもあります。

撮影:君島有紀