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中川政七商店の奈良本店と鹿猿狐ビルヂングの魅力に迫る 後編

<フォトジェニックなキモノ旅>

路地が入り組んだ風情ある「ならまちエリア」にニューオープン!
<鹿猿狐ビルヂング>の魅力に迫っていきます。
前編では飲食店3店舗と<中川政七商店 奈良本店(旧 遊中川 本店)>をご紹介しましたが、
後編では<中川政七商店>の歴史から今の取り組みまでたっぷりとご紹介したいと思います!

~新名所・鹿猿狐ビルヂングの魅力に迫る 前編〜
はこちら↓
https://www.kimonoplus.com/columns/331/lang/ja-JP/8

【目次】
1.日本の工芸がここに集結!<中川政七商店>でお買い物
2.300年続く工芸の歴史を<時蔵(ときぐら)>で学ぶ
3.麻織りを<布蔵(ぬのぐら)>で学ぶ
4.五重の塔を眺めながら<JIRIN(じりん)>で自分時間
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1.日本の工芸がここに集結!<中川政七商店>でお買い物

まずは1・2階にある<中川政七商店>のご紹介です。
「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、100年後の日本の工芸を考えて様々な取り組みをされています。
工芸の衰退は作り手と使い手が離れてしまっていることだと危機を感じ、繋ぐことの大切さを考えておられます。

こちらは2階。
広々とした売り場には日本の工芸を生かした商品が約3000点ほど並んでいます。
キッチン用品・雑貨・衣類・食品など生活に欠かせない・又あると便利な物、幅広いジャンルの商品が販売されていて、時間が経つのも忘れ見入ってしまいました。
どんな商品なのかひとつひとつ見るのはとても楽しいですよね。

自社商品のみの販売で、よく売れるという グッドデザイン賞 金賞を受賞した「花ふきん」は色んなデザインが並んでいるので、お好きな色・柄を探してみてください♪

そしてこちらは最近発売された柄です。

よーく見るとカーブしている線が!
これは「中川政七商店」の「七」と「工芸」の「工」が入った柄「政七紋(まさしちもん)」なんです。
時代を超えて愛されてきた「最古にして最新」の文様である格子柄を基調に、暮らしにそっと馴染んで、ずっと色あせないものを目指して「政七紋」がつくられました。

この「政七紋」で作られた商品は店舗限定で展開中、のれんや洋服に鞄・食器などたくさんあるのでぜひ手に取って見て欲しいです。

1階の売り場にはお土産がたくさん並んでいます!
食品も多くあり自宅用にも欲しくなります。

ここでしか買えない奈良土産がたくさんありますが、
1番人気はこちらの「鹿猿狐みくじ」495円だそうです!

底からおみくじを出したあとは飾って楽しみましょう。
3匹がとても可愛らしいですね。

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中川政七商店 奈良本店
●電話:0742-25-2188
●時間:10時00分〜19時00分
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2.300年続く工芸の歴史を<時蔵(ときぐら)>で学ぶ

こちらは<中川政七商店>300年の歴史がアーカイブされている<時蔵>です。
2016年、300周年を迎えて過去を振り返ったとき見返せる資料や現物が少なかったことをきっかけに、これから100年後の未来へ歴史を繋いでいくため作られた資料館です。

これは入って右側。
奈良晒の商いを始めたのが1716年、<中川政七商店>の始まりです。
当時 奈良晒の証明のため、包に判が押されたものが流通していました。
企画展として、その頃の判子や布買入帳・生地見本など貴重な資料が展示されています。

こちらは正面。
年号別に<中川政七商店>の歴史が書かれたタペストリーがあります。
気になるのはこちらの奥に見える ずらーっと並んでいる引き出し。
1つ1つ4桁の数字が付いているのですが、この数字は「年」を表しています。
その年の成果をこの桐箱に入れて保管する。
そうすることで、何年先でも歴史を振り返り学ぶことができる。
「今」を伝えていくことが「未来の工芸」の発展にも繋がっていくのでしょう。
<中川政七商店>の工芸に対する熱い思いを見た気がしました。

ちなみにこの桐箱は1〜2階の吹き抜けで壁一面 用意されているのですが、
創業の1716年から2137年まで421年分並んでいます。

2階へ上がるとまず見える向かい合う鹿。

<中川政七商店>のロゴを思い浮かべますが、右側が伝統工芸の一刀彫りで作られた物。
左側はそれを3Dスキャンした物。
伝統技術と最新技術のコラボレーションですね。

あと2階にはパッと目を引く屏風が展示されています。

それは過去から未来まで描かれた物です。
生活の一部として溶け込んでいる「工芸」の様子を見ることができます。
時代を順に追って描かれていますが最後は「暮らしの中で自然と工芸に親しむ、そんな開かれた工芸の姿が工芸を取り巻く私たちの未来像です」と書かれた「産業観光の時代 -現在-」です。
細かく描かれているので、ゆっくり見ていただきたいです。
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3.麻織りを<布蔵(ぬのぐら)>で学ぶ

続いては<布蔵>のご紹介です。
こちらでは麻生地を作る工程が一から見学できます。

貴重な織機や、そもそも植物の麻を紡ぎ 糸にする糸車などが大切に保管されています。

乾燥する時期は糸が切れやすく、その度につなぎながら織っていたそうです。
とても繊細な物ですが、出来上がったものはとても丈夫で昔から衣類や日用品に使われています。
「麻はすくすく育つ」というところから、出産祝いなどお祝いにプレゼントされる方も多いそうです。

織機はただ展示されているだけではなく、まだまだ現役です!
申し込みをしておけば「機織り体験」ができます。
体験で何人もの方が織り上げた麻布は あの<時蔵>の桐箱に保存されます。
歴史の中に自分の名前を連ねることが出来るんです!
記念に是非、「機織り体験」をしてみてはいかがでしょうか。
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4.五重の塔を眺めながら<JIRIN>で自分時間

最後にご紹介するのは3階にあるコワーキングスペース<JIRIN>です。
仕事や勉強で利用する方も多いですが、「N.PARK PROJECT」の拠点としてこちらで様々な講座が開かれています。
N.PARK PROJECTは「学びの型」と「一歩踏み出す勇気」をコンセプトに、奈良の地に数多くのスモールビジネスを生み出し、街を元気にする<中川政七商店>の取り組みです。

外を見ると興福寺の五重塔が一望できます。
贅沢なロケーションですね!

事前申し込みをすれば、麻はがきに染め型を使って図柄をステンシルする体験ができます。
季節に合わせた奈良の風景が用意されていて、お子様でも楽しめるワークショップです。
このはがきは実際に投函することも可能です!
奈良の思い出にいかがですか♡
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いかがでしたでしょうか?
<鹿猿狐ビルヂング>の魅力を前編・後編に分けお伝えしました。
建物のコンセプトである「路地を巡り出会う、触れ、学び、味わう奈良」。
これらを全て感じられたように思います。
奈良に来られた際は立ち寄っていただきたいと思います!

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鹿猿狐ビルヂング
●住所:奈良県奈良市元林院町22番
●アクセス:近鉄 奈良駅から徒歩7分
JR関西本線 奈良駅から徒歩15分
●HP:https://nakagawa-masashichi.jp/shikasarukitsune
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※価格はすべて税込表記です。
※データは2021年6月時点での情報です。
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撮影:岩嵜一真
取材・文:キモノプラス編集部