【前編】ほったらかしはもったいない! タンスに眠るお下がり着物着まわし術・色無地編
おばあちゃんやおかあさんから受け継いだ着物。どう着たらいいかわからなくて、タンスに眠らせたままという人も多いのでは?
今回は実際に親世代から着物を譲り受けたという方のご自宅を訪問し、タンスの中にあるものだけでコーディネートにチャレンジしてきました。
前編の今回は、お下がりで譲り受けることの多い「色無地」の着物をベースにした帯の組み合わせで、着るシーンや印象をがらりと変える着まわし術をお伝えします!
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シーンや世代を選ばない
万能選手「色無地着物」
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今回タンスで見つけたのが、梅の地紋(織り模様のこと)が美しいピンクの色無地。
色無地とは黒以外の一色で染められた着物のこと。シンプルだから流行り廃りがほとんどないので最初の一枚として選ばれることも多く、無地だから帯を選ばず、普段着からフォーマルまで幅広いシーンで着まわしがきく便利な一枚です。
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金糸入りの名古屋織帯で
セミフォーマルな装いに
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一つめは、「金糸を使った名古屋帯」を合わせた上品なコーディネート。高級レストランでの食事会やお茶会など、お呼ばれの席にもふさわしい「セミフォーマル」な装いです。
名古屋帯は普段着の帯とも言われているけれど、金や銀の糸が織られた帯はセミフォーマルなシーンにもOK。今回はとくに帯と着物のどちらも梅がモチーフなので、披露宴や入学式といったお祝いごとにもぴったり。
ちなみに梅模様は、お正月や春にしか着られないと思われがちだけど、松竹梅や菊などの縁起の良い図柄は通年着用しても大丈夫。桜や紅葉など季節を感じさせる柄でも、デフォルメされた抽象的な柄なら季節を問わず楽しめます。
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重厚感のある華やかな袋帯で
特別なハレの日を彩る
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二つめは、「綴れ織の袋帯」を合わせた「フォーマル」なコーディネート。喜びが重なって続きますようにという願いを込めた二重太鼓結びや、より華やかな飾り結びができる長さのある「袋帯」は、お祝いごとに欠かせないアイテム。
見るからに華やかで重厚感のある綴れ織は、手織りの最高峰と言われる帯。とくに金や銀の糸を用いたものは礼装で活躍します。
一つめよりもクラスアップした装いになり、結婚式や祝賀会といった大きな式典をはじめ、お茶会のなかでも新年を祝う初釜への参列や七五三にもふさわしい身支度に。
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ちょっとしたよそいきには
自分らしい染帯をセレクト
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三つめは「染めの名古屋帯」を合わせた、気軽だけどきちんとした「よそいき」なコーディネート。ジャケット着用が求められるようなスマートカジュアルシーンにどうぞ。
やわらかい「染帯」は、オシャレさと上品さを兼ね備えた“こなれ感”あるスタイリングが得意。とくに色無地との組み合わせは自由度が高いので、好きな柄や色で思い切り楽しんで。
上品な印象にしたいなら帯を着物と淡いトーンでそろえると◎。濃淡の異なる帯を合わせればぐっと存在感のあるスタイルに。多色使いの帯はいろいろな着物に合わせられるので一本あると便利です。
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まとめ
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初心者でもコーディネートがしやすい「色無地」の着物。自分では選ばないなと思う色でも、帯や小物の組み合わせなど工夫次第で予想外にしっくりくることも。ぜひいろいろ試してみて。後編では、気軽で楽しい「普段着の着物」の着まわし術をご紹介します。