大島紬でアカ抜け大成功!顔タイプ着物アドバイザーのワザあり“似合わせ”術

鹿児島県奄美大島発祥で1300年の伝統を持つ大島紬は、優雅な光沢や軽くてしなやかな着心地が特徴。昔から高級織物として広く愛され数多く出回ってきたのと同時に、三代にわたって着られるくらい丈夫なことからご家族間で受け継がれることも 多い着物です。
一般的に、渋い色柄や落ち着きのある風合いのものが多い大島紬。袖を通したらしっくりこなかったり、コーディネートが難しかったりと、 譲り受けたものの結局タンスにしまいこんだまま、という方も多いようです。
美しい見た目と高級感あふれる質感から、着物の女王とも称される大島紬。持て余したままではもったいない!ということで、 今回は大島紬を“自分らしく”素敵に着こなすために、顔タイプ着物アドバイザーの真壁しおりさんを訪ねました。
“似合わせ”術でサポート
着物姿がぐんとアカ抜ける

訪ねたのは、日本顔タイプ診断協会の認定講師で、着物スタイルアドバイザーの真壁しおりさん。
真壁さんが代表を務める着物スタイル協会では「顔タイプ診断®️」をベースに、骨格やパーソナルカラーなども合わせた総合的な診断を実施。 カウンセリングでは、一人ひとり異なる“似合う”着物の色柄や着付けの方法、着こなしのポイントなどをアドバイスしています。
洋服とは異なり、お下がりも多い着物。せっかく手もとにある着物を“似合わない”から諦めるのではなく、 “似合う”を理解した上でどう着こなすかを具体的にサポートしてくれるので、自信を持って“自分らしく”着られるようになり、着こなしの幅もぐんと広がります。
カウンセリングのベースとなる「顔タイプ診断®️」は、顔のパーツのバランスや形状で分類する診断。結果は下記図の8タイプに分かれます。
「顔タイプ着物診断」を自己診断してみる
https://www.kimonoplus.com/columns/1096/lang/ja-JP/16
芸能人でいうと誰?「顔タイプ着物診断」の分類8タイプの詳細をチェック!
https://www.kimonoplus.com/columns/1098/lang/ja-JP/16
どうして大島紬を
上手に着こなせなかったの?

体を覆う面積が多い着物は洋服よりも、色柄が“似合う・似合わない”に直結します。大島紬にもさまざまな色柄がありますが、“直線”の要素を多く持つ人が似合うものがほとんどのため、 “曲線”の要素が多いほど着こなしが難しくなります。
今回着用の着物や小物もすべて「クール」タイプが“似合う”アイテム。一方で、モデルの柚木渚さんは「キュート」タイプのお顔立ち。
上図からもわかるように「クール」と「キュート」は、両極に位置する顔タイプ。甘くかわいいお顔立ちに反してお着物が落ち着きすぎているので、全体的に質素で寂しい印象になってしまったようです。
「でも、大丈夫!ポイントさえ押さえれば、キュートさんも大島紬を着こなせます!」とにっこり微笑む真壁さん。さっそく“似合わせ”術をレクチャーいただき、変身しました!
これぞプロの“似合わせ”術
3つのポイントで大変身!

いかがですか?
質素で寂しくどこか古めかしいコーデが、ふんわりと愛らしくモダンな印象へと大変身しました!
変更したのは大きく3つ「衿元・帯周り・ヘアメイク」。
着物と小物がすべて「直線+大人」のクールさんが似合う“シャープでかっこいい”アイテムだったので、小物を変えて 「曲線+子ども」のキュートさんが似合う“かわいらしくやわらかい”要素をプラス。
ヘアメイクは逆に、キュートさんらしいほんわか甘い雰囲気から、かっこいい“直線”の要素を少し加えたへアメイクにチェンジ。 大島紬が“似合う”イメージへとぐっと寄せました。
似合わせポイント①
多色使いで帯周りを愛らしく

着物の次に面積を占める帯。帯ひとつで全体の雰囲気をガラリと変えることができます。
帯選びのセオリーとして、着物と同じテイストや同系色の濃淡から選ぶ方法があります。もちろんそれは失敗しない合わせ方のひとつではありますが、今回のように着物自体がお顔立ちとマッチしない場合は、帯を着物ではなくお顔立ちに合わせるのがコーデ成功のポイント。
キュートさんに“似合う”帯周りのルールは、ふんわり・かわいい・多色・クリアな暖色・曲線といった要素を加えること。 今回は、白地に美しい色彩で伸びやかに植物が描かれた紅型帯をセレクト。大島紬特有の渋くてかっこいい雰囲気を、女性らしく愛らしい帯で中和させました。
そこに、明るめカラーの帯締めで帯周りをさらに強調。帯と着物をつなぐ役割のある帯揚げは、お顔立ちにも着物にもマッチする上品で淡いピンクを。 かわいらしいリボン型にふんわり結ぶことで、キュートさんの甘く愛らしい雰囲気を全体的に印象付けることに成功しました。
似合わせポイント②
ふっくら半衿で顔周りをやわらかく

半衿は、面積は小さくても大きな影響力を持つアカ抜けポイント。素材選びや巾の出し方、衿合わせによってセンスの光るモダンな着こなしへとクラスアップすることができます。
キュートさんの親しみやすくやわらかな持ち味を強調してくれるのは「凹凸のある半衿」。ツルンとした光沢のある半衿から、立体感のある刺繍半衿へと変更。半衿巾も出すほどに愛らしさが増すので、多めに出して大人かわいい雰囲気に仕上げました。
衿合わせは、浅めでのどのくぼみを見せると落ち着き感が増しますが、顔タイプ「子ども」の要素が多いお顔立ちと合わせると、着せられた感や質素な印象になることも。
のどのくぼみをすっぽりと隠すくらいにきっちりと深く、90度にちかい鈍角で衿を合わせることで、お顔立ちに合った清楚で上品な印象と若々しさをアップさせました。
似合わせポイント③
かっこかわいい中世的な顔に

着物スタイルで最も重要とも言えるのがヘアメイク。ヘアメイクなしに素敵な着こなしは完成しません。
今回は大島紬とのアンマッチを解消するべく、「子ども×曲線」のキュートさんのお顔立ちに、「大人×直線」の要素をヘアメイクでプラス。ただし「大人×直線」のヘアメイクをそのまますると浮いてしまうので、キュートさんに“似合う”ポイントを押さえながらチェンジしました。
まずはヘアアレンジから。丸いおでこは、キュートさんのチャームポイントのひとつ。それを生かしたまま、前髪全体をすっきりとあげて無造作感のあるまとめ髪に。「直線」要素が醸し出すヘルシーな雰囲気へと仕上げました。

メイクの変更ポイントは3つ。1つめは眉。キュートさんはふんわり丸く短い眉が似合いますが、少し濃いめのアイブロウでまっすぐ眉にして「直線」要素をアップ。長さは短く、眉尻をぼかすことでふんわり感も残しました。
2つめも「直線」要素を目元にプラス。キュートさんが得意なピンクは封印し、目尻を強調するように上まぶたへカーキ色を、下まぶたにはオレンジをオン。“ほんわかかわいい”から“ナチュラルヘルシー”な目元に変えました。 アイラインはキュートさんにはトゥーマッチなので省略。
3つめはリップに「大人」要素を。「子ども」にもマッチするヘルシーなオレンジ色の中から少し濃いめの色を選び、落ち着いた雰囲気に。明るいオレンジのチークはキュートさんに似合う方法で“ふんわり丸く”入れることで全体を調和させました。
まとめ

今回ご紹介した3つの“似合わせポイント”のほかにも、衣紋の抜き方や裾の絞り具合、お草履や足袋の選び方など、ディテールを調整することでもっと“似合う”がアップします。各顔タイプごとのコーデや着付けのポイントについては「コーデ編」の記事でチェックしてみて。
顔タイプ着物診断の記事をチェック
https://www.kimonoplus.com/series/680/ja-JP/1
キュートさん以外の曲線要素の多い顔タイプさんが同様の大島紬を着る場合は、フェミニンさんは明るい織帯で重厚感とツヤ感をプラスして華やかな装いに。アクティブキュートさんなら、半衿をカラフルにしてポリエステルの帯などでポップなコーデに仕上げるのも素敵です。
今回は大島紬にフォーカスしましたが、“似合わない”という理由でタンスの肥やしになってしまっている着物があるという方も多いのでは?
プロのレクチャーを受けることでオシャレの幅が広がるだけでなく、自分でも知らなかった自分の魅力に気がつくことができます。何より、せっかく引き継いだ大切な着物を再び着ることができたらうれしいですよね。ぜひ活用してみてくださいね。
▼記事協力
日本顔タイプ診断協会
https://kaotype.jp/
▼監修・着付け
真壁しおり(日本顔タイプ診断協会 認定講師・着物スタイル協会代表)
日本顔タイプ診断協会 認定講師
https://kaotype-sys.com/style_kimono
着物スタイル協会代表
https://www.kimonostyle.info
▼キャスト・スタッフ
モデル:柚木渚(セントラルジャパン)
ヘア&メイク:亀田春佳
撮影:鈴木ジェニィ
文:君島有紀
▼衣装協力
京都きものレンタル和凛
https://walin.jp/